こんにちは、齋藤です(プロフィールはこちら)
「高単価すぎる美容室で売上が上がらない場合の蘇生術」の続きです
これまでの記事はこちらからどうぞ
2022.02.27
高単価すぎる美容室で売上が上がらない場合の蘇生術
「高単価すぎて売上が思うように上がらない美容室のテコ入れ案」について、相談をもらったのでいくつかの記事に分けて書いていきたいなと思います ...
2022.03.19
美容室経営では「メニューをイジる=ブレまくってる証拠」である
「高単価すぎる美容室で売上が上がらない場合の蘇生術」の続きです この記事では「メニューをイジる=ブレまくってる証拠」であるという話をし...
今回は「高単価にするのが美容室経営者の界隈で流行ってるから俺っちも高単価にしちゃうぜ!」という人に向けた話です
まるっとネタバレしちゃうと「高単価にすればするほどビジネスは難しくなりまっせ」という内容。
単価は高いが経営は上手くいっていない原因
相談者のIさんの店は単価が3万円と、非常に高い設定になっています
単価1万以下が当たり前の美容室というビジネスモデルにおいて、3万円というのは驚異の単価なわけですが、理論上は月200万円の売上が可能なのにそれが達成されていないのが現状で、「単価は高いが経営は上手くいっていない」という状態といえます
その理由はこれまでの2記事内で話したように、
・数字の目標がない
・メニューがブレブレ=コンセプトがブレブレ
・コンセプトがブレブレなので集客できない
というのもあるのですが、そもそもとして「高単価にするとビジネスは難しくなる」というのが前提としてあります
Iさんの店が高単価だけど経営が上手くいっていない理由は「高単価ビジネスを制御できるだけのビジネスモデルを作れていない」ということなのです
要は「ビジネス知識がない」もしくは、「ビジネス知識のなさをカバーできるだけの美容師力がない」のです
「ビジネス知識のなさを美容師力でカバーする」のはかなり難しいので、重要というか対処法としてはやはりビジネスを学ぶのが最も現実的ですね
僕はいつも言いますが、中学生レベルのビジネス知識があれば年収1000万美容師になるくらいは簡単ですから。
高単価にするならば相応の戦略を。
高単価にするとビジネスは難しくなるので、高単価のデメリットを解消できる対策が必要です
今は髪質改善系サロン筆頭に高単価にするのが美容室経営者の中ではまことしやかに流行っておりますが、高単価にするとはどういうことか?を理解せずにやっちゃうと、当然ながら苦しい戦いになってしまうのは言うまでもありません
髪質改善トリートメントという言葉だけに反応し、「よし!うちもトリートメントに力を入れて高単価にするぞ!」という人の末路はさらに言うまでもないですね(苦笑)
髪質改善系サロンがうまくいってるのは、トリートメントでも高単価でもなく「経営のシステム化」にキモがあるからなんですよ
経営のシステム化にキモがある
ということは、上手くいっている髪質改善系サロンは「高単価にするとビジネスは難しくなるが、それをクリアする戦略がキチンとある」ということです。
美容室で高単価にする方法は髪質改善のように「フルコースメニューだけ用意する」以外にも、「実力やブランドを理由に高単価にする」という方法もあります
別にどっちでもいいんですが、どちらの場合でも「高単価にするデメリットをクリアする戦略」ありきで成り立つわけです
「高単価」がキモなのではないんですよ。高単価にすれば成功するとかイタイ勘違いはしないようにしましょう
ここ最近流行ってる美容室経営の失敗はこれで、今回相談をくれたIさんはまさに典型例。今、高単価がアツイ。
【システム化の参考記事はこちら】
2018.08.02
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システム化実例の2つ目は美容室です 美容業界は「売上はスタッフの技術であげるもの」という神話が未だににありますが、フツーに考えればそんなも...
2021.07.12
今、成功している美容師がやっている2つの経営スタイル
この記事は「年収200万円美容師が独立開業して年収1000万になる方法」の続きです 前回の記事はこちら 「経費をかけない、人がい...
1000円のネギを買うか?
いい感じにキリがつきそうな話の展開ですが、このブログは毎回5000字を超える時代錯誤なものですからここでは終わりません。高単価についてもっと掘り下げてみましょう
金持ちでも1000円のネギは買わないって話をします
ビジネスをやるのであれば「金持ちでも1000円のネギは買わん」というマインドセットを持っておきましょう
これは「だから1000円のネギは作るべきではないし売らないべきだ」って話ではありません
さっき話した「高単価にすると戦略いりまっせ」の前提として持っておくべき考えであり、1000円のネギを作って売るネギ農家になるなら相応の戦略を用意しろ。良いもん作ってれば差別化だとか、口コミだとか、集客できるとか乙女みたいな妄想してんじゃねえぞってことですね。
金持ちでも1000円のネギって買わないんですよ。もしくはリピートしない
金があろうがなかろうが、誰の目にも1000円のネギは高すぎるからで。気まぐれで買うことはあってもリピートするなんてことはさらに可能性としては低い
「相場感」というのはなんにでもあって、人ぞれぞれかと思いきや同じ国に住んでいる限り、相場感は同じようなもんです
1000円のネギはワープア低所得でも高いと思うし、孫正義でも高いと思うのです。だってスーパーで100円くらいで売ってますし、それ以上の価格はなかなか見ませんから。
美容室にも人々の相場感というものがあります
美容室の単価なんて1万~15000円が限度ですよ。それ以上は多くの人にとって「私には関係のない美容室」もしくは「もはや美容室には見えない」価格になってしまいます
1000円のネギはあなたに関係あると思えるでしょうか?「すごい料理屋とか、料理にこだわってる素人が買うんだろうな」という認識で、あなたは買おうかな?という思考にすらならないと思います
なぜなら相場から考えると高すぎるから。
Iさんのサロンもそうなっちゃってるということです
単価3万はすごいけど、美容室としてはかなり高いですから。
一般的なの相場観の人からしたら「芸能人が行くのかしら」ですよ(笑)
さらにメニューを見ればわかることですが、
1:髪質改善トリートメント 20000円
2:髪質改善トリートメント+縮毛矯正 45000円
3:髪質改善トリートメント+ハイグレード版縮毛矯正 100000円
4:髪質改善トリートメント+ヘッドスパ 30000円
ここにはカットもカラーも表記されていませんから「髪質改善トリートメント屋さん」にしか見えません
残念なことに日本にはまだ髪質改善トリートメントは認知されていますが、これはあくまで美容室として認知されており、「髪質改善トリートメント屋さん」というビジネスは認知されていませんので、「なんかよくわかんない店」でしかありません
髪質改善トリートメント屋さんは美容室に見えるんじゃないの?と思うでしょうけど、そんなちゃんと見てくれないですからね
人ってニュートラルな状態では相当にアホなんで(苦笑)
カットもカラーもパーマも表記されておらず価格もない状態では美容室ではなく、見たまんま髪質改善トリートメント屋としか思われません
そんなビジネスはありませんから「なんかよくわかんない店」にしか見えないのです。馴染みのない形式のビジネスは一般大衆からするとそれ以上でも以下でもありません。
Iさんの店は、
・高単価のデメリットをクリアする戦略がない
・なんのビジネスなのかわからない
という問題を抱えているわけです
これでは選ばれない、買われませんから=新規が来ない=売上が立たないという結果は必然なんですね
相場を超える高単価でビジネスを作れる人はかなりのビジネス力があり、特殊な人です
Iさんがそうでない限り現状のモデルはお勧めできず、そしてそうではないから結果がでていないわけですね。
「成功してるけど能力値フツーの人」と同じことをする
最も簡単にリスクなく成功する方法というのがあります
「成功してるけど能力値フツーの人と同じことをする」ことです
相場を超えた高単価ビジネスモデルは基本的にサンプルがありません。もしくはあってもビジネスオーナのレベルが高くて真似してはいけないものになっています。
ビジネスって「すでに成功している人がいっぱいいるモデル」を採用するほうが難易度が下がるんですよ
成功例がすでにあるし、客の目から見ても見たことがあるモデルになるからです
美容室の場合、単価15000円を超えてくると「すでに成功している人がいっぱいいるモデル」から外れてきます
先駆者や参考にするものがありませんから自分で手探りでやっていく必要がでてくるんですよ
客の目から見ても「見たことがないもの」になるので選ばれるのも難しく、レベルの高い戦略が必要になります
単価10000~15000円の美容室なんて腐るほど成功例あるし、相場的にも高単価ではありますが、想定外ではありません。ビジネス的なハードルは大して高くないわけ。
・簡単、安全に成功したい
・時代に対応できる柔軟性のあるビジネスを作りたい
・自分はスペシャルではない自覚がある
のであれば、自分が参入するビジネスですでに成功している人のマネをするのが鉄則というかなぜしない?という話なのです。
差別化は「他と違うことをする」ことではない
差別化や独自化をよく勘違いして「他と違うことをする」とか思っちゃってる人いますけど、これは間違いですからね
そもそも参入したビジネスが同じならやることは同じにしかなりません。当たり前だけど美容室は美容室なんですよ
参入したビジネスが同じなのに他と違うことしたら「よくわかんない変な店」にしかなりません
差別化や独自化は自分で「うちは違いまっせ」と叫ぶことではないです
こちらはコンセプト、世界観、目指しているもの、信念を表現し、それを見た人が「ああ、ここは他とは違うな」と感じることで差別化や独自化が達成されるのです
妙な高単価やメニューはイタイ差別化、独自化から生まれるものですが、傍から見たらそれは「スネ夫」みたいなんですよ。このラジコンは僕しか持っていないんだ、と変わりませんから。
まさかスネ夫がモテると思う人はいないでしょう(苦笑)
ビジネスでモテなかったらオシマイですよ。
さてさて、話が「ビジネスモデルについて」に移行してきましたので、次の記事ではそのあたりの話をIさんへの処方箋として話していこうかと思います。
2022.05.11
美容室は「インフラビジネスのポジション」を死守するべき
「高単価すぎる美容室で売上が上がらない場合の蘇生術」の続きです これまでの記事はこちらからどうぞ Iさんへの処方箋はひとまず...
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